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Technical Discuttion
計算科学分野で活躍する
社員座談会

計算科学の専門家だからこそ出会える可能性

be WORLD CORE その志が、世界の芯になる

Theme

住友化学では様々な分野のプロフェッショナルが専門性を発揮して活躍しています。
計算科学のプロフェッショナルもその一員。
物理や数理科学をバックボーンに、シミュレーション技術によって開発を推進し製造を支える重要な存在です。
その仕事内容ややりがい、入社動機などについて、話し合ってもらいました。

Profile

塩屋

塩屋 俊直

先端材料開発研究所
研究グループ
(分析評価シミュレーション)
主任研究員

2007年入社
理学研究科物理学専攻修了

柴田

柴田 悟史

先端材料開発研究所
研究グループ
(分析評価シミュレーション)

2013年入社
理工学研究科物質科学専攻修了

仙田

仙田 早紀

生産安全基盤センター
プロセスシステムグループ

2015年入社
工学研究科応用化学専攻修了

計算、シミュレーションが好きなら誰でも挑戦できる

塩屋

塩屋総合化学メーカーの住友化学の中で、我々のような計算科学の専門家は異色の存在です。学生の皆さんも我々の志望動機が気になるのではないでしょうか。

柴田

柴田高校生の頃だったと思いますが、地元にあった住友化学のプラントで社員の方々がゴミ拾いのボランティアをしている様子を目にしました。地域社会に貢献している、良い会社だと感じ、こういう会社で働きたいと思った記憶があります。

仙田

仙田私は、マラリア対策に力を発揮する防虫剤処理蚊帳「オリセット®ネット」を知り、複数の技術を融合して社会に貢献している企業だと感じたことが入社動機です。柴田さんと近いかもしれませんね。

塩屋

塩屋私は、研究員として大学の研究室にいたとき、住友化学の方が訪ねてこられたことがきっかけで、住友化学を知りました。その方が自分の仕事について楽しそうに話している様子が印象的で、実際に研究所を訪問したときには、まさにその印象通りの雰囲気が研究所全体に流れていたんです。その空気に触れ、自分もここで皆さんと一緒に研究に打ち込みたいと思い、住友化学に入社することにしました。

柴田

柴田学生時代の研究と今の仕事は、どうつながっていますか? 私の場合は、高分子材料の制振、吸音特性に関する研究をしていたのですが、現在の業務でも高分子の知見が必要ですので、役立っています。何よりも専門外のことにチャレンジすることを学んできたので、化学会社での仕事にもまったく抵抗はなかったですね。

仙田

仙田私は粒子流体系の研究室で、混合性能の向上をねらいとして撹拌機の翼を非定常的に動かしたときの流動・混合の挙動を流体シミュレーションと実験の面から明らかにしていました。得られた膨大なデータから系統立てて現象を理解し、アウトプットするという力は仕事に十分生かされていますし、何よりも工場では粒子・流体現象がモノづくりの柱になっているので、学生時代の経験がそのまま活用できています。

塩屋

塩屋私は核融合のための高強度レーザーの他用途への展開を模索していたほか、超新星と呼ばれる天体現象の起源を調べるための研究なども行いました。住友化学は「創造的ハイブリッド・ケミストリー」を基本戦略としていますが、学際的な研究に取り組んできた私の経験はその意味で大いに役立っていると感じます。

仙田

仙田実は私の上司の専攻は機械なんです。上司によれば「数学が好きなら専攻は関係ない。誰でも挑戦できる」とのことです。

塩屋

塩屋同感ですね。計算が得意な方なら、そのスキルはすぐに我々の仕事に応用できます。また、私の職場は物理出身者が多く、ケミストは少ないんです。そのため、ケミストとは異なる観点から、計算方法を提案できるのも面白いですね。
学生の皆さんが思う以上に、我々の仕事は門戸が広いといえるでしょう。

製品の開発に貢献できる喜びを実感

塩屋

塩屋柴田さんはCAE (computer aided engineering)の専門家として活躍中ですね。

柴田

柴田ええ。材料を開発する側であるメーカーは分子構造や処方の検討を通じて目標とする材料物性の達成を目指しますが、ユーザーであるお客様は製品形状や他材料との組み合わせを通じて製品性能の達成を目指します。この両者の結びつきが困難であることは珍しくないため、CAEを用いることで最終製品性能の仮想評価・物理量の可視化を行い、材料特性と製品性能の橋渡しを行うわけです。それによって開発スピードを加速させることにも貢献します。

塩屋

塩屋どんな点にやりがいを感じますか。

柴田

柴田CAEを通じて課題解決策を示し、研究開発の方向性を決定できることですね。私の提案が反映されて新しい材料が開発されるのは大きな喜びです。

仙田

仙田私は工場および研究で生じている液体、気体などの流体が関わる問題…、例えば撹拌槽内の混合不具合や燃焼炉内の温度異常などの原因についての検証、解決策の提案を行っています。流体解析ソフトを使うのですが、数百キロという大スケールや数ピコ秒の一瞬の間に生じる現象の計算などでは、自分たちでプログラムを組み、ソフトの開発を行うこともあります。

塩屋

塩屋他部署から依頼されて計算を行うわけですね。

仙田

仙田ええ。例えば私の提案によって、安価な撹拌機に切り替えることができたときなどには、大きなコストダウンが生まれます。会社の利益に貢献できるというのは、大学での研究にはない、ビジネスの現場ならではの醍醐味ですね。

塩屋

塩屋私は有機材料の解析・設計を行っているのですが、その中でマテリアルズインフォマティクスと呼ばれるデータ科学を研究開発に取り入れることに挑戦しています。従来の計算機シミュレーションによる電子状態の可視化は、電子レベルで機能を発現する電子材料の開発に不可欠なのは変わらないですが、これに、データ科学の発想や解析手法を取り入れることで、研究開発プロセスの飛躍的な加速を目指しています。今はまだ材料開発への活用を試行している段階ですが、一日も早く現場の材料開発に役立て、新しい材料の創出につなげたいと思っています。

開発や製造の現場からの厚い信頼に応えて

塩屋

塩屋私の勤務する筑波地区研究所には有機、無機材料の様々なテーマがあり、それらを通じて他分野の研究者と交われるのは大きな刺激となっています。分析、合成、評価と、各分野ともいずれ劣らぬ専門家揃いで、難題にぶつかっても必ずその道のプロが手助けしてくれる環境にあります。

柴田

柴田部署間の壁がないのは、住友化学の魅力の一つですね。自由闊達なディスカッションができるし、仕事が終わった後の打ち上げにも参加できますよ。

仙田

仙田そうした一体感は私も感じます。私の職場は愛媛工場の中にあり、研究所や製造現場に気軽に顔を出すことができます。計算科学の専門家という立場から、一緒にものづくりに参加しているという実感があります。

塩屋

塩屋ネットの時代だからこそ、当社のようなフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを尊重する社風は大切にしたいですね。我々にも、計算結果だけを渡して終わりという意識はありません。

柴田

柴田魅力ということでは、ハイスペックなコンピュータや超高級なソフトを多数所有していて、自由に使えることも嬉しいですね。

塩屋

塩屋シミュレーションのためには十分なリソースが必要ですが、その点、スーパーコンピュータの「京」や「TSUBAME」も使えるという環境は大変に恵まれたものだと感じます。ストレスを感じることなく、やりたい計算ができるというのは、嬉しいことです。

塩屋

塩屋住友化学には、我々計算科学を担当する人間と、開発や製造の社員との間に強い信頼関係があります。これは幾多の先輩方が長い歴史を通じて培ってきた“財産”ではないでしょうか。だから、他部署の社員が我々の出した計算結果を尊重し、すんなりと受け入れてくれます。これはなかなか得がたい環境ではないでしょうか。本当に素晴らしい文化だと思います。

異才が交わるチーム力こそ、大きな強み

塩屋

塩屋これまで特に印象に残っているエピソードを教えてください。

柴田

柴田自動車部品である射出成形品で発生したトラブル解決が印象に残っています。解決の難しい問題でしたが、CAEで検討し成形条件や金型の形状の工夫での解決案を提案しました。試作に立ち会わせていただいた時には、CAEで予測した通りの結果が得られるか、プレッシャーに押しつぶされそうでした。

塩屋

塩屋それはさぞ緊張したでしょうね。

柴田

柴田試作の結果、無事に予測通りの成果が得られたときは、本当に大きな達成感がありました。お客様から顧客ニーズの大切さを教えていただきました。

仙田

仙田私は高粘度かつ弾性を持ったペーストの複雑な形状の金型への押し出し工程の検証が、印象に残っています。シミュレーションにより押出挙動の検証を行うことになったのですが、私にとって初めてのことであり、物性のモデル化、壁面の摩擦状態の取り扱い、計算手法の選択、補間方法の選択、実機と値が合わないことなど、山のような課題に直面しました。

塩屋

塩屋どのように乗り越えましたか。

仙田

仙田周囲の皆さんに助けていただきました。このとき私は「困ったときは人を頼りにしてもいいんだ」ということを学んだんです。

塩屋

塩屋私も仙田さんと同じようなことを学んだ記憶があります。入社してすぐ携わったリチウムイオン二次電池用正極材の機構解明に取り組んだのですが、合成、電池評価、計算機シミュレーションと、まさに総力戦のプロジェクトでした。このとき、「すべて一人で進める必要はなく、得意な人が得意な分野を担当することが大切なんだ」と実感しました。住友化学の研究開発力の高さは、そうしたチーム力にあると学びました。

周囲から信頼される研究者を目指して

塩屋

塩屋皆さんは将来についてどんな目標をお持ちですか。

仙田

仙田新規事業の製品を世の中に送り出すことです。現在は新規反応炉の開発に取り組んでおり、まずはこのプロジェクトを成功させたいですね。反応炉内での流動状態や温度分布などを検証し、操作条件を決定するため、流体解析のシミュレーションが活用されています。

塩屋

塩屋柴田さんは、やはりCAEがキーワードですか。

柴田

柴田そうですね。CAEを用いて材料開発の提案を行いたいと思います。高分子材料設計CAEから製品設計CAEまで幅広く経験し、最終的にはマルチスケールCAEの実用化を目指していきます。ただ、CAEはあくまで手段の一つに過ぎません。計算が絶対に正しいと固執してしまうのではなく、周囲とのコミュニケーションを大切に、実験結果とCAE結果を冷静に比較する目を持ちたいと思います。そして、“いてくれないと困る技術者”と周囲から信頼される存在を目指します。

仙田

仙田私はまだ周囲の皆さんを頼りにしていることが多いので、柴田さんがおっしゃったように、いつかは頼りにされる存在を目指したいと思います。

塩屋

塩屋計算機シミュレーションはまだまだ実験の後追いになってしまうことも多いので、シミュレーションが研究開発の要になることが目標です。また、マテリアルズインフォマティクスに代表される情報科学的なアプローチを開発現場に普及させることにも取り組んでいきたいと思います。

柴田

柴田計算科学という専門性を生かして、様々な分野に関われるのが大きな魅力ですから、その可能性は大切にしていきたいですね。


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