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スペシャリティ作物から大型作物への拡大、
さらにはトータルソリューションプロバイダーへ。

Project Story
03

ファインケミカルプロジェクト

be WORLD CORE その志が、世界の芯になる

Personalities

健康・農業関連事業 業務室
部長
上川 徹

国際アグロ事業部
登録部 部長
西岡 和彦

#1

農作物の安定収量確保に寄与する農薬

近年、環境保全型農業のひとつとして有機栽培が注目されているが、我が国の農作物総生産量に有機栽培が占める割合は、1%に満たない。虫、菌、雑草の防除ツールとして農薬がいかに農作物の栽培に寄与しているかを示すデータといえる。事実、農薬を使用しなかった場合には農作物の収量は低下する。農薬を使用した場合に比べ、米:60〜70%、麦、豆、芋:35〜65%、果樹:0〜60%、野菜:20〜60%程度の収穫しか得られないとするデータ(日本植物防疫協会)がある。特に外観が商品性に大きく影響するモモやリンゴは、農薬なしには虫食いや傷のない果実を生産することは困難と言われている。さらに、有機栽培で稲作を行った場合、農薬を使用した場合の1.6倍の労働力が必要になるという結果(農水省調査)が出ている。日本のように農業従事者の高齢化が進んでいる場合は、労力の軽減は大きな意味を持っている。

#2

スペシャリティ作物から大型作物への拡大

これまで住友化学は、果樹や野菜などスペシャリティ作物をターゲットとして農薬事業を展開してきたが、近年では大豆、小麦、トウモロコシなど大型作物マーケットへの拡大を進めている。その拡大路線について西岡は次のように語る。

「果樹や野菜も重要な作物ではありますが、大豆、小麦、トウモロコシといった大型作物は市場規模が桁違いに大きく、しかも近年、これらの大型作物の作付面積はブラジルを中心に南米で大幅に拡大しつつあります。農薬の分野でもグローバル化を積極的に進める住友化学にとって、大規模マーケットへのビジネスの拡大は欠くことのできない戦略となっています」

ビジネスの地理的な拡大とともに、川上、川下といった領域へも積極的に進出していると上川は語る。

「以前のように作物が生えているところに空中散布するのではなく、種子に農薬を付着させる種子処理剤、さらに収穫後の農作物の品質を保つポストハーベスト農薬などの領域へも守備範囲を広げることで、ビジネスの大きな伸張を狙っています」


#3

長期間、多大な投資を要する農薬開発

農薬の開発はおおまかに次のような流れで行われる。①サンプルの供試:自社合成品・天然物・外部サンプルから農薬として試験すべき化合物の入手、②活性の評価:温室内試験などにより標的となる病害虫や雑草に対する効力確認と効力ある候補の選抜、③製剤と効力の評価:実使用場面に適した製剤の検討、④作用性の評価:病害虫や雑草に対して農薬がどのようなメカニズムで作用するかの検討、⑤安全性の評価:哺乳動物に対する毒性試験・環境生物に対する影響の確認、⑥環境における挙動:環境中での農薬の分解性・土壌での残留性の調査・作物に取り込まれる農薬の量・取り込まれた農薬の分解性の調査、⑦作物残留試験:作物中の農薬の残留性の調査、⑧製造法の研究:品質とコストを満足する工業製造法の確立、⑨登録申請:当局へのデータ提出。

「一般的にこうしたプロセスを経て農薬は開発されますが、10年を越える年月と間接的な経費を含めると、100億円〜200億円、あるいはそれ以上にのぼると言われています。」

安全性、環境への負荷などについては、世界各国とも、年々規制が厳しくなり、要求されるデータが増加しているために、農薬開発に要する期間、費用とも著しく増大する傾向にあると西岡は言う。


#4

年々高まるハードルを超えるための高度なテクノロジー

年々高まる農薬開発のハードル。そのハードルを越えるためにさまざまな最新テクノロジーが農薬開発に投入されると上川は語る。

「例えば化合物の作用点で結合様式をX線構造解析技術で観察し、さらに化合物が結合できるのかどうかをコンピュータ上でシミュレーションするなど多面的に情報を収集し理論的な化合物デザインに基づく技術開発にも積極的に取り組んでいます。また、ゲノム創薬の手法も将来的には、ますます導入されていくことでしょう」

さらに、より効果が高く、安全性にも優れた化合物が求められる農薬開発において、化学物質を1種類ずつ調べる従来の手法では、開発費用、開発期間とも膨大なものとなる。そこで上述した最先端技術を応用し、作用のメカニズムを直接観察したり、化合物のスクリーニングを速やかに行ったりすることで、開発コストを抑え、開発期間を短縮しようという狙いである。

再生医療の成果を活用した最先端技術は、化合物の毒性評価に応用され、ヒトへの影響が注目を集める反面、実験動物の削減が求められる安全性確認を信頼性の高いものにし、登録業務の効率化、迅速化を実現している、と西岡も語る。


#5

農業分野のトータルソリューションプロバイダーへ

農薬開発の目指すところは、
●より選択性に優れた:標的となる病害虫や雑草のみに作用する、
●活性の高い:少量の農薬を散布することで効力が発揮される、
●環境影響の少ない:環境中での分解が速やかで残留せず地下水を汚染する懸念の少ない、
という特徴をそなえた農薬。この数十年の間、農薬の活性や選択性は大幅に向上し、農業生産性の拡大に寄与してきた。さらに近年では、いわゆる合成農薬と並んで微生物を活用した生物農薬も注目を集めており、住友化学のグループ会社でも、生物農薬ビジネスをグローバルに展開している。さらに住友化学では、農薬の提供のみならず、肥料、農業資材、栽培技術をトータルで提供するトータルソリューションビジネスも展開している。そのソリューションビジネスの拠点が「住化ファーム」。住友化学グループの最新技術と農産物の栽培・販売のノウハウを地域農家に提供する目的で設立され、現在、長野、大分、山形、三重、茨城の5か所で活動。栽培ノウハウの提供のみならず農業の事業継承などについてのコンサルティングを実施し、日本の農業が抱える課題の解決に取り組んでいる。


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